雁    高峰秀子の数多くある秀作の一つ - Kenjis Movie Review
4585
post-template-default,single,single-post,postid-4585,single-format-standard,bridge-core-3.0.7,qode-page-transition-enabled,ajax_fade,page_not_loaded,,vertical_menu_enabled,qode-title-hidden,qode_grid_1300,side_area_uncovered_from_content,qode-content-sidebar-responsive,qode-child-theme-ver-1.0.0,qode-theme-ver-29.4,qode-theme-bridge,disabled_footer_top,disabled_footer_bottom,qode_header_in_grid,wpb-js-composer js-comp-ver-6.10.0,vc_responsive,elementor-default,elementor-kit-4228

雁    高峰秀子の数多くある秀作の一つ

文芸史に残る巨豪、森鴎外。監督史に残る巨匠、豊田四郎。女優史に残る大女優、高峰秀子と、大がつくアーティストが揃い踏み。どんだけ重苦しい文芸作かと思いきや、ストーリーは、明治時代にはよくあっただろうと想像できる、男女の三角関係です。
金に貪欲な高利貸し(東野英次郎)のおめかけさん(高峰秀子)が、学生(芥川比呂志)に恋心を抱く。簡単に言ってしまえばそれだけの話ですよ。
貧乏で父親を助けるためにも、囲い者になることを承知した高峰。家の前をよく通る芥川と知り合い、好きになってしまうんですね。同時に金で縛られた身上に嫌気がさします。芥川とは、関係を深める前に彼はドイツへ留学。東野と大げんかの後、家を飛び出した高峰は、池に佇み、泳ぐ雁を見つめていると、雁は急に飛び立ってしまうというカットで終わり。
まず高峰の喜怒哀楽が、ビビッドにスクリーンに展開し、観客を魅了します。コメディ良し、泣かせ映画良し、ドラマ良し,文芸もの良しのオールラウンドの大女優というのをつくづく痛感します。この映画で異色と思ったのは、東野。極貧からの成り上がり。高峰を本当に好きだろうし、金の取立てには冷酷ですが、嫌なジジイとは思えないようなキャラの設定です。最後、雁が飛び立つのを見て微笑む高峰は、東野から別れるのか、それとも戻るのか、今度時間があったら、本屋で文庫本があれば立ち読みして調べてみます。
                      75点 

No Comments

Post A Comment